完堕ち女子大生 ~愛と哀しみのナポリタン~【8】

     厨房に戻った長門は、口笛を吹きながら食器を棚に納めていった。
     それにしても、彼氏の名前を出した時の顔ときたら。
     目を見開いたあの表情を思い出すと、ククク、と笑いが込み上げてきた。

     すみれがバイトに来るようになってからすぐに、事務室に隠しカメラと盗聴器を設置した。もちろん着替えの様子を盗み見るのが目的だ。下着姿が初めて映っていたときは、年甲斐もなく興奮したものだ。
     しばらくすると、電話をしている映像がやけに多いことに気付いた。去年の冬ぐらいからか。話が弾んでいるようで、働いている時よりも嬉しそうに見える。言いようのないジェラシーに襲われた。注意深く会話を聞き直していくと、ジュンペイ、という名前が頻繁に出てきた。
     男でもできたか……。疑念が確信に変わったのは、文彦が「彼氏が出来て娘の帰りが遅くなった」と店でこぼすのを聞いてからだ。もうグズグズできない、と思った。同時によこしまな気持ちも芽生えた。寝取るっていうのも、案外いいスパイスになるかもな、と。

     苦い思い出が頭をよぎる。今まで女っ気がなかったわけではない。結婚を考えた女性もいた。店の常連で、出会ったころはまだ学生だった。失恋の相談に乗るうちに、いい仲になり、そのうち相手から告白された。卒業後は長門の部屋で同棲生活が始まった。店は2人で切り盛りした。経営も軌道に乗り、そろそろ、と思った時だ。突然別れを切り出された。交際が始まって6年が経っていた。
     好きな人が出来たの、か。
     相手は長門も知っている、妻子持ちの大学教授だった。

     それからは、真剣に付き合った女性はいない。女を抱きたくなれば、風俗で紛らわせてきた。酔った勢いでデリへル嬢を押し倒し、その筋の男たちに呼び出された時は殺されるかと思ったが。すみれに出会うまで、誰かを好きになる、という感情を抱いたことがなかった。

     艶やかな黒い髪、長い手脚、張りのある胸の膨らみと淡いピンク色の可憐な乳首、余分な肉が一つも付いていないくびれたウエスト、桜の花びらのような唇。思っていた以上に感じやすいのは、素直な性格の賜物だろう。ここまではうまくいっている。
     長門は上機嫌だった。不満なのは、一世一代の愛の告白に、憐みの目を向けられたことくらいだ。
     まあ、本番はこれからだよ、ククク。また笑みが込み上げてきた。

    「ただいま」
     長門が戻ってきたのはちょうど1時間後だった。
     部屋には、ウィン、ウィン、ウィンというローターの振動音が響いている。
    「いい子にしてたか、すみれ」
     肩で息をしていたすみれは、久しぶりに聞く声に口をパクパクさせた。
    「ま、マスター、お願い、こ、これ、止めてください。お願いします。も、もう……ンンッ、あ、ああッ、はあぁぁぁン」
    「振動が弱すぎて、すみれには物足りなかったか」
     すみれの懇願を嘲笑うように、長門はローターの振動を3つとも「中」にした。
    「ンあああぁぁぁッ、ダメぇぇぇ。止めてッ、止めてください」
     上半身が跳ねて、身体が弓のように反り返った。頭がガックンと前後に揺れる。固定された両脚を必死で動かそうとする。テープを引きちぎらんばかりの勢いだ。
    「ダメぇぇぇぇ。お願いだから止めてぇぇ……あ、あン、あン、ああンッ。も、もうダメになっちゃうぅぅ」
     長門はそれを見て満足そうに口元を緩めると、スイッチを切った。
    「はあぁぁぁ……ン、ンンン」
     すみれがホッとしたような顔になったところで、またスイッチが入れられる。今度は「強」だ。
    「はあぁぁぁぁ、入れちゃダメぇぇぇぇ……。な、なんでぇぇぇ、ああ、あンッ、あンッ、あンッ」
     垂れ流れるよだれで、胸はもうベタベタになっていた。
    「ほ、ホントに、ホントにもう、おかしくなっちゃうぅぅぅ……止めてッ、止めてぇぇぇ」
     首を振り乱しながら、すみれは絶叫した。クリトリスへの強烈な刺激が全身を突き刺す。背中をベッドに押しつけ、ブリッジするようにクイッ、クイッと腰を突き上げた。はしたないのは分かっていても、身体が勝手に反応してしまう。止めることはできなかった。
    「おいおい、そんな腰をピクピクさせるなんて、これ、よっぽど気に入ったのか、すみれ」
     動けば動くほど、ローターが密着してピンクの肉芽に襲いかかってくるのだ。地獄のような責め苦に、ウブな肉体はひとたまりもなかった。
    「ンあぁぁぁぁぁ……。もうダメッ、止めてッ。ねぇぇ、お願いよッ。も、もう許してッ。止めてッ、止めてくださいッ。こ、こんなの、狂っちゃうぅぅぅ」
     長門は「強」のままスイッチを切っては入れ、切っては入れを繰り返した。すみれが息も絶え絶えになったのを見て、ニヤニヤしながらようやく3つのローターとアイマスクを外すのだった。

    「綺麗だったよ、すみれ」
     長門は頭を何度も撫で、きつく抱きしめた。すみれは分厚い胸に顔をあずけ、深く息をついている。
    「さ、テープを外してあげよう」
     自分で縛っておいて、まるで良いことでもしてるような言い草だ。
     すみれが素直に頷くと、両脚をM字に固定していたテープが剥がされた。長門は身体を唯一隠しているショーツにも手をかける。
    「これも脱いじゃうか」
     返事を聞く前に、両脇からクルクルと巻き取っていく。純平にしか見せたことのない繁みがすっかり露わになった。
    「イヤぁぁぁ、み、見ないでッ、見ないでぇぇぇ」
    「ほう、案外びっしり生えてるんだな」
     陰毛を引っ張られ、すみれは狂ったように頭を振る。死にたくなるほど恥ずかしかった。長門は見せつけるように、ショーツのクロッチ部分に鼻を近付けている。
    「そ、そんなことしないでぇぇぇ」
    「いいんだよ、すみれ。気持ちよくなったら、誰でも濡れるんだから」
    「イヤぁぁぁ……見ないでッ」
     後ろ手に拘束されたまま、すみれは全身をすくませ、陰部に絡みつく視線から逃れようとする。その上からのしかかると、長門はまた無理やりキスを迫ってきた。
    「ン、ンンン、ン、ンン」
     舌と舌がねっとりと絡む。長門は右手で乳房を揉みつぶすと、下腹部をさすっていた左手を女陰に伸ばしてきた。
    「あッ、そこはダメぇぇぇ」
     すみれは唇を振りほどいて抵抗しようとしたが、乳首を口に含まれると、もう力が入らない。ローターで無理やり性感を溶かされた肉体は、信じられないくらい敏感になっていた。ほんの少し責められただけで、すぐに快感が駆け上がっていく。皮が剥かれ露わになった花芯を、長門がそっと摘んだ。
    「あぁぁぁ、あンッ、ンあぁぁ……あンッ、あンッ、ああンッ」
    「お漏らしでもしたのか、すみれ。もうぐちょぐちょじゃないか」
     くちゅ、くちゅ、くちゅ。音が聞こえるように人さし指で掻き回された。
    「あーあ、シーツもびしょ濡れだよ。これじゃ、洗濯しないとダメだ」
     すみれの神経を逆撫でするように、長門は言葉で追い詰めていく。
    「うぅぅぅぅ、ご、ごめんなさい」
    「ベッドを汚した罰は受けてもらわないとな」
     瞳を閉じて羞恥心と戦っていたすみれは、不穏な雰囲気を察して目を開けた。
     ベッドの脇には、シャツとジーンズを脱ぎ捨てた長門が、グレーのボクサーブリーフ一枚で立っていた。


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